歯は一生使えるものと思われがちですが、実際には加齢や生活習慣によってその本数は減少していきます。
歯を失う主な原因はむし歯や歯周病ですが、喫煙や食生活といった日常の習慣も影響します。
この記事では、健康な歯の平均寿命や年齢別の歯の減少傾向を解説し、歯を守るための具体的なポイントについて解説します。
目次
■歯の平均寿命と減少する理由
◎健康な歯の平均寿命とは
健康な永久歯の寿命は平均して50年~65年とされており、特に60歳を超えると歯を失う本数が増える傾向にあります。
特に奥歯の寿命は短く、前歯より平均して10年程度早く失われることもあります。
◎歯が減少する主な原因
むし歯が重度まで進行すると神経が失われ、もろくなった歯根は破折などが起こり、最終的に抜歯が必要になるケースがあります。
また、歯周病は、歯を支える骨が溶ける病気で、これも歯を失う大きな原因とされています。
さらに、加齢による歯の質の低下も歯を失う一因です。
不規則な食生活や喫煙といった生活習慣も、歯や歯肉に悪影響を与えることがわかっています。
■年齢別で失う歯の本数
◎40代~
この年代では、むし歯や歯周病が進行するケースが増える傾向があります。
仕事や育児で忙しく、歯科検診を後回しにしがちな時期でもあるため、状態が悪化することも少なくありません。
平均的に1.4本程度の歯を失う人が多いとされ、特に歯周病の予防が重要です。
◎50代~
この時期は平均3.0本の歯を失う可能性があります。
40代よりもさらに歯周病の予防が重要になりますので、毎日のセルフケアや歯科医院での定期検診を怠らないように注意しましょう。
◎60代~
60代からは特に歯周病が進行しやすく、歯を失うリスクが高い年代です。
この時期に失う歯の本数は平均で6本程度となります。
歯を支える骨の健康状態が、この年代以降の歯の寿命に大きく影響するため、適切なケアが必要です。
◎70代~
この時期は平均11.2本の歯を失う可能性があります。
60代~の倍近い本数をこの年代で失う方も多く、多くの歯を失うことは、食事を十分に楽しめなくなることにもつながります。
◎85歳~
85歳以降で失う平均本数は14.1本となっており、85歳では半分程度の歯を失っている方も多いです。
噛む力が弱まり、栄養不足や健康面への悪影響となる場合もあります。
部分入れ歯や総入れ歯の装着が必要になるケースが増えますが、定期的な口腔ケアを行うことが健康維持の鍵となります。
※厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
■どうしたら歯を守れるのか?
◎日常的なケアを徹底する
歯の健康を守るためには、毎日のケアが基本となります。
正しい歯みがき方法を身につけ、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを活用することで、歯と歯の間に溜まりやすい汚れや歯垢(プラーク)を効果的に取り除くことが重要です。
特に歯間は歯ブラシが届きにくい部分であり、汚れを放置するとむし歯や歯周病の原因となります。
さらに、糖分の多い食べ物や飲み物を控え、カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取することで、歯の再石灰化を促し、歯の強度を保つことにつながります。
また、喫煙は歯周病を悪化させるリスクを大幅に高めるため、禁煙を心がけることが歯を守る第一歩となります。
◎定期的に歯科検診を受ける
歯科検診は、むし歯や歯周病の早期発見・治療に欠かせません。
日常のケアでは取りきれない歯石やプラークを除去し、歯周組織の健康を維持することができます。
患者様の口腔状態によって頻度は異なりますが、3ヶ月~6ヶ月に1回を目安に歯科医院を訪れ、定期的にクリーニングや検診を受けることでトラブルを防ぎやすくなります。
また、歯科検診では、歯並びの変化や噛み合わせの問題なども確認できます。
特に歯ぎしりや食いしばりがある場合は、歯の破折が起こりやすいので、治療を受けることで健康な歯を維持する助けとなります。
高齢者の場合、飲み薬や持病が歯の健康に影響を与えることがあるため、歯科医師に全身の健康状態も伝えることが重要です。
歯科検診を予防のための習慣として取り入れることが、健康な歯を長く保つ秘訣です。
【年齢別のポイントを知って歯を守る】
歯は正しいケアを行えば、一生使い続けることが可能です。
しかし、むし歯や歯周病、加齢による影響で失うリスクが高まります。
特に60代以降は顕著であり、日常的なケアや定期検診が大切になります。
歯を失った場合でも、入れ歯やインプラントなどの方法で補うことができますが、大切なのは、可能な限り自分の歯を守ることです。
予防を徹底することで健康な歯を長く保ち、快適な生活を続けることができます。