
むし歯は早期発見・早期治療が重要です。
進行度によって症状や治療法が大きく変わるため、それぞれの段階を理解することが、健康な歯を保つためには欠かせません。
この記事では、むし歯の進行度を表すC0からC4(むし歯を意味するカリエス[Caris]の頭文字)までの段階に分けて解説し、その後に各段階に応じた治療法をご紹介します。
最悪の状態を未然に防ぐため、定期的な予防診療もぜひ心がけてください。
目次
■むし歯の進行度
◎C0(むし歯の前兆)
むし歯の前段階です。
歯の表面に白い斑点が見られる状態で、痛みはありません。
これは歯の表面のエナメル質が溶け始めている兆候で、これが進行するとむし歯となりますが、この状態ではまだ回復が可能です。
◎C1(初期症状)
歯の表面のエナメル質が溶け始めている状況です。
まだ浅いむし歯であり、まれに冷たいものがしみることがありますが、基本的に痛みはほとんど感じません。
見た目は白く濁って見える、茶色く変色して見えるなどの状態です。
痛みはなくても、エナメル質がむしばまれ始めているため、放置すると進行が速くなる可能性があります。
◎C2(進行したむし歯)
むし歯が歯の内側の象牙質にまで達した状態です。
この段階では冷たいものや甘いものに触れると痛みを感じることが多くなります。
穴が開いていることも多く、見た目でも分かりやすいですが、歯と歯の間や歯の溝にむし歯ができている場合は、進行しても分かりにくいので注意が必要です。
◎C3(神経まで達したむし歯)
むし歯が歯髄(神経)まで進行した状態です。
何の刺激がなくてもとても強い痛みを感じる状態です。
神経は一度感染してしまうと取り除く以外に治療方法はないため、この段階の前で気づくことが大切です。
◎C4(歯がないむし歯)
歯冠部分が崩壊し、歯の根だけが残っている状態です。
この段階になると、神経が壊死しているため、痛みを感じないこともあります。
最悪の場合、歯の保存が難しくなり、抜歯が必要になるおそれも。
むし歯が歯根まで広がっているため、歯槽骨への感染のリスクが高くなります。
■それぞれの治療法
◎C0(むし歯の前兆)
C0の段階では、フッ素塗布や適切なブラッシングによって歯の再石灰化を促します。
この段階でむし歯を食い止めることができれば、治療をせずに健康な歯を保つことが可能です。
定期的な検診と予防ケアが重要です。
◎C1(初期症状)
C1のむし歯は、軽度のため治療も一度で終わることが多いです。
患部を少し削り、コンポジットレジンなどの詰め物で補修します。
痛みを感じることはほとんどなく、短時間での治療が可能です。
◎C2(進行したむし歯)
C2の段階では、むし歯部分を削り取った後、詰め物やインレーで補います。
必要に応じて麻酔を使用し、痛みを感じないような治療が進められます。
◎C3(神経まで達したむし歯)
C3になると、根管治療(神経の治療)が必要です。
歯の神経を取り除き、根管を清掃・消毒した後、詰め物やクラウンを被せて歯の機能を回復します。
治療には数回の通院が必要なことが多いです。
◎C4(歯がないむし歯)
C4の段階では、抜歯が必要になるケースも多いです。
歯を失った後は、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの補綴治療で機能を回復する方法が選択されます。
早期に治療を受けていれば、抜歯を避けることができるため、定期的な検診と予防が重要です。
■なぜ予防、早期治療が大切なの?
◎治療が複雑になる
むし歯は放置すると進行し、痛みを感じたり、進行するほど治療が複雑化します。
治療費も高額になるため、早期の対応が非常に重要です。
◎かかると治らない
むし歯は一度かかると、治療によってしか進行を止めることはできません。
ブラッシングなどでは進行が止まらないため、早期に治療を受ける必要があります。
また、治療で治した部分は天然歯と違い、修復しただけに過ぎません。
そのため、予防が重要となります。
【進行するほど治療が複雑になる】
むし歯は進行度に応じて症状と治療法が変わります。
進行するほど治療が複雑化するのが大きな特徴です。
早期発見と適切な予防が、歯を長く健康に保つために欠かせない対策です。
定期的な検診と日常のケアでむし歯を未然に防ぎましょう。